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時代の背景

近年マスコミを賑わしている「薬の副作用」についての影響か、医療受給者側(つまり患者さん)も、投薬される処方せん薬の内容に、すっかり敏感になって参りました。

当然のことと言えば、当然のことであり、全国的に医薬分業が普及するにつれて、「調剤過誤」、「間違った説明」などの苦情が多くなったのも事実でございます。街の調剤薬局では混雑の中、服薬指導に汗し、「薬剤情報提供書」や「おくすり手帳」など、患者さんの依頼に応じ発行している昨今でもございます。

最近はOTC(一般の大衆薬のこと)の販売につきましても、病診薬が一般のお薬として転換され発売される(スイッチOTCという)ケースも増加し、こちらの分野でも保険調剤における薬歴管理と連携し、服用歴を詳細に記述実施する旨の行政指導がなされております。

小柴胡湯(医療用)の副作用情報

このような情勢の中で、こと今まで副作用の分野ではどちらかというと「ご縁のない?」漢方薬が平成3年4月に突如として「副作用情報」の仲間入りをしました。

 「小柴胡湯(しょうさいことう)による間質性肺炎の報告」です。この時期には医療用漢方エキス剤はT社とK社が市場を独占する形で医家向けに流通されており、内半数以上が「小柴胡湯処方」であったと言われております。

これは、有る意味、いわゆる「使いすぎ」に対する警鐘でもあったわけです。

そもそも、小柴胡湯は江戸時代より胸脇苦満などを目標として使用されている優秀処方の漢方薬で、7 種類の生薬より成る配合剤であります。

以前からは湯剤、煎剤などで用いられておりましたが、現在ではあらかじ め水エキスを調製し、その後加工し顆粒剤・錠剤などにした製剤が主として用いられております。

当初、この「小柴胡湯」は医療用医薬品としては、「慢性肝炎における肝機能障害の改善、慢性胃腸障害」等の適応で主流として使用されていた経緯があります。従って、繁用処方でもあったわけです。

ところが、その後インターフェロ ンα類及びβの適応がC型慢性活動性肝炎に拡大され、小柴胡湯との併用により間質性 肺炎を起こしたとする症例がさらに報告された(マスコミでも騒がれました)ことから、平成6年1月にはインターフェロン α類との併用が禁忌とされ、その後の使用頻度は下降線を辿り、今日に至っております。

このため、「小柴胡湯」の添付文書の改訂も当然実施され、新たに小柴胡湯の医療用エキス製剤の使用上の注意に「警告:慢性肝炎における肝機能障害の改善の目的で投与された患者で間質性肺炎が起こり、重篤な転帰に至ることがある。」を記載するとともに、効能・効果は「体力中等度で上腹部がはって苦しく,舌苔,口中不快,食欲不振,微熱,悪心のあるものの,諸種の急性熱性病,肺炎,気管支炎,感冒,胸膜炎・肺結核などの結核性諸疾患の補助療法,リンパ腺炎,慢性胃腸障害,産後回復不全及び慢性肝炎における肝機能障害の改善」とされました。


小柴胡湯(一般用OTC)はどうか?

なお、一般用医薬品(つまり当店で販売しているお薬)の小柴胡湯については、間質性肺炎の報告は無く、また適応も「はきけ、食欲不振、胃炎、胃腸虚弱、疲労感および風邪の後期の症状」または、「胸や脇腹が重苦しくて疲れやすく、交互的な悪寒、微熱、食欲不振、せきなどを伴うもの、感冒、胃腸カタル、気管支炎カタル」とされ、特に肝臓に疾患のある患者は、「小柴胡湯」の使用について医師又は薬剤師に相談するべき旨が記載されております。

漢方だから安心!・・・・は、ない

小生薬剤師として極めて残念至極なことは、この事件を契機に、「漢方薬は怖い、特に小柴胡湯は飲むべきではない」風潮が患者さんサイドで過剰とも思えるほど根強く出回ったことです。

この現象は事件の後遺症として現在までも続いていると言っても過言ではないでしょう。

小柴胡湯が「柴胡剤」の中でも特に傑出した処方だけに心残りでもあります。

 「漢方だから安心!」の神話は既に崩れ去りました。

用法、用量を遵守せずに過剰に服用、又は他の一緒に飲むと好ましくない薬と併用(相互作用)すれば、当然副作用の発現頻度は高くなります。

新薬と比較すれば、重篤な副作用はほとんど皆無に等しいのですが、それでも薬は「薬」、「医薬品」としての使用方法をよくよくご確認されながら、かつ不明な点はぜひ薬剤師にご相談して頂きたいと思います。


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軽度ではあるが、起こることがある

以下のことを副作用として位置づけるには難点があるが、用法・用量を守られても、「好ましくない作用」が出現することがあり、あえて小生はこれを飲まれる方の立場になって、副作用としてみました。

1. 初めて服用される方に多いが、味や香りになじめなくて吐き気が起こる。(漢方に限らず、他の薬や食品でもありえます。)

2. 服用量が多いのでおなかがふくれたり、胃がもたれたりする。(特に胃腸の弱い方やご年配者に多いですね)

3. いつもより、便が軟便傾向になる。(配合生薬にもよるが、代謝が促進されれば、一時期はこの傾向になります)

漢方の専門家にとっては、以上のことは東洋医学の範疇では「副作用」としない・・・・というご意見もございます・・・・。

ごくまれであるが、発疹

現代はアレルギー症状を有する患者が激増し、昔は少なかったアトピー性皮膚炎や花粉症、サバ、牛乳などの食べ物などによってアレルギーを起こす症例が珍しくはありません。

特にお子様に多いと思います。

従ってアレルギー体質の人が漢方薬をのんだ場合、頻度はごく少ないですが、新薬と同様に、発疹などが出ることもあります。

■「瞑眩」(めんげん)出現は患者側からは副作用の解釈?

東洋医学では、西洋医学の「ものさし」ではとうてい解釈できない理論体系があります。「気・血・水」の理論、陰陽などがその代表的なものです。

たとえば、「瞑眩」(めんげん)という症状、漢方の世界ではよく耳にいたします。

例えば、漢方薬を服用開始後に、「証」がぴったりと適合した場合に、一時的ではありますが症状が悪化(お腹がゆるくなったり皮膚炎が出現)することがあります。

ところが、その後急激に状態が以前よりも改善していくことがあります。これ「瞑眩」(めんげん)といいます。

さて、服用開始後に、なんらかの形で症状が悪くなった場合、これが「瞑眩」なのか、「副作用」(いわゆる好ましくない症状を含む)なのか?又は他の原因(他に摂取した食品など)なのか、素人判断のきめつけは禁物です。

自分で瞑眩だと決めつけずに、好ましくない症状や嫌な症状がある場合には、遠慮なく医師や薬剤師に相談してください。

このケースの場合、当店では例え瞑眩であろうと、なかろうと、一旦投薬を中止して頂きます。

服用した時の状態(体調)、併用したものの有無、用量の再確認を実施致します。

主旨としては、万が一の副作用を懸念しての当店の措置です。

無理してそのまま投薬を継続させることは、いたずらに精神的な苦痛を与えるだけでなく、患者さん側にとっては「漢方は自分には合わない。」と、嫌悪感をもって諦めてしまう方もいらっしゃいます。

明らかに瞑眩であったと薬剤師が総合的に判断した場合、患者さんにその旨をよくご説明し、同意をとった上で、好ましくない症状から離脱した時点(概ね一週間後)から再度チャレンジして頂きます。

但し、その時は減量処方(約半分量)から次第に増量していく形をとらさせて頂いております。

当店開店以来、お陰様で本年で18年目を迎えます。

患者さんとのコミニュケーションを踏まえてのこの方法は、今後もとらさせて頂くつもりです。

■あきらめないで・・・

漢方薬は決して万能ではありません、しかし人体にやさしく、穏やかな作用を有する天然物(つまり生薬)が主体のお薬です。

これら生薬の配合比決定は、中国4000年の歴史の過程によって成された先人達の集大成です。 

お客様の病状に合う漢方処方、養生法は、必ず存在するはずです。決して諦めずにチャレンジして頂きたいと思います。

(2002/05/15 プロたん拙稿)
■2005/12/12 プロたん加筆
■2008/01/25 プロたん加筆・目倶転載
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