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プロたんの悠遊自適漢方譚(ゆうゆうじてき かんぽうたん) 2006年版へ≫

■【新】本音で対談シリーズ: 日時場所:平成17年12月 プロたん内にて
(実際に収録したものをTCテクニカル〔株〕が監修したものです)
話し手: 管理薬剤師薬剤師 プロたん
略歴:元病院薬剤師(20年間)
一般市販薬・漢方(販売歴16年目)
    現プロたん 代表
話し手: 漢方外来担当(レディース外来) 沙織(さおり)
略歴:一般市販薬・漢方(販売歴16年目)
本格的な乾燥時期に入り、さすがにアトピーのご相談が激増しています。

タイツ膏軟膏の販売実績が12月の時点で、もう既に、昨年以上の売れ行きを示しています。

先日、メディアでのご紹介もあった影響でしょうが、それにしてもすごい勢いで売れていますね。

今日はこの「アトピー性皮膚炎」のことについて、お話をしたいと思います。
うん。今年は特に乾燥がひどいようだ。アトピーの定義だけど、その辺から今日の話は入っていこうか・・・・・・。

まず、再燃を繰り返すということ。これは大きな特徴だね。

次に、強い痒みをともなう湿疹病巣。これも特徴だ。

それと、他疾病との大きな違い。それは左右対称性に発現し、かつ慢性化する皮膚炎症状だね。
そうですね。これら皮膚症状の発現の背景としては、皮膚過敏性と、IgE抗体産生を中心とする免疫異常が挙げられると考えられているようです。

つまり、アトピー素因として、それぞれに遺伝的支配が考えられる。・・・・ということですよね。
その通りじゃな。実に複雑でかつ変化に富んだ疾患で、たとえば、この背景にさまざまな外因が継続して加わることにより、本症の湿疹病巣が形成される。

さらに外因が継続して加わると本症の再燃と慢性化が進行していくという次第だ。まったく。
本症との類似疾患もありますよね。
例えば、家族や本人が「アトピー」と思っていても、実はそうではなかった・・・・というような。
そうなんじゃ。その辺の見極めは、素人判断はできない。専門医に委ねるしかないと思うよ。

例えば、お子様の場合、乳児脂漏性湿疹というのがある。又は、皮膚カンジダ症、接触性皮膚炎ということもあり、まず適格な診断をする上にも、種々の類似疾患を除外診断しなければならない。
そうですね。

まず、治療方針としては、出現している皮膚症状に対する直接的治療と、さらに重要なことは、再燃予防のための治療とに大別できると思います。

前者は当然のように薬物療法になりますが、後者はいわゆるスキンケアと生活指導が中心になると思います。
スキンケアと生活指導ね。もっとも重要なことだと思うよ。沙織先生のお得意の分野だね。

その前に、さっそく病院における一般的な薬物療法にいってみよう。

ご承知の通り、ステロイド外用薬、保湿剤の外用と抗ヒスタミン剤の外用薬の混合など。いろいろあるね。

あるいは抗アレルギー薬の内服が実施される。こちらも症状に応じた薬剤が選択される。いっぱいありすぎて、とても一口には言えない。
まったくですね。

基本的には、患者さんの症状の程度、年齢、生活環境、季節などを考慮され、選択した上で処方されるようです。

つまり外用薬では、乳児、幼児ではマイルドクラス。年長小児、成人ではストロングからベリーストロングクラスのステロイド外用薬が選択されますね。
具体的に従来からは、ロコイド+レスタミンや、プロパデルム、ネリゾナユニバーサルなど繁用されたが、最近はやはり副作用をよく考慮して非ハロゲンが使用されている。

アンテベートなんかもよくでるね。コツは局所に1日1〜2回、薄く伸ばすようにして外用するということ。
たとえば、保湿剤を先に外用し、その上から症状の強い局所のみにステロイド外用薬を塗布するケースが多いと思います。
そうだね。ここで保湿剤の選択は極めて重要で、患者さんの塗りごこちを重視した選択をしなければならない。くどいようだが、重要ポイントだ。

なぜなら、適切な選択が行われると、ケースによっては、軽度の湿疹反応も保湿剤のみで治療が可能になるし、症状の再燃予防にもつながると思う。
最近はすっかり一般的になりました「ヒルドイドソフト」が筆頭ですね。
従来からの白色ワセリン。
亜鉛華単軟膏。親水軟膏。そしてオリーブ油など・・・・・。
ま、これらの他、医薬部外品、時には化粧品も選択が可能ですね。

入浴後に全身にわたって薄く伸ばすように塗布し、必要に応じて塗布回数を増加させる。

または、皮膚に刺激が加わることが予測される場合(冬の外出時など)には、前もって保湿剤を外用させ皮膚を保護するように指導する。
ようするに、日常生活における、きめこまかな対応が必要なんですね。
それでは、現在医療機関で処方される、抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤の内服についてお話したいと思います。

かゆみに対する、薬物療法はいっぱいありますね・・・・。
主にどういう根拠で使用されるのですか?
なかなか、面白い素朴な質問だね。ワシは薬剤師だからわからんけど・・・ドクターに一度聞いてごらん。

まさか、当病院で「採用されているから・・」とか、「その薬のメーカーさんが出入りしているから・・」というご返事はこないよ。

例えばね、・・・・・。まだまだいっぱいあるが、最近の処方は・・・。

ポララミン復効錠6mg 2錠 分2 内服 (1日2回の処方)

タベジール錠1mg 2錠 分2 内服  (1日2回の処方)

セルテクト錠30mg 2錠 分2 内服  (1日2回の処方)

アゼプチン錠1mg 2錠 分2 内服  (1日2回の処方)

ジルテック錠10mg 1錠 就寝前  (1日1回の処方)

アレジオン錠20mg 1錠 就寝前 (1日1回の処方)

当たり前だが、これが全部一度にはでない。ドクターは患者の容態や、疾患の程度、さらに「かゆみのリズム」(ここが一番重要)を把握した上で適切に処方する。・・・・という事だと思う。
つまり、患者のかゆみの消退に沿って、処方変更もある。・・・ということですね。患者個々のかゆみの時間帯、程度も千差万別だから、投薬のサジ加減は皮膚科ドクターの腕にかかっているわけですね。
まさに、そういうことです。

さらにケースによっては自家製剤(そこの皮膚科独特の手法とポリシーをもった特別な製剤で、主に複雑な配合剤をさします。)をも駆使し、難治のアトピー性皮膚炎に対応している医療機関も最近は多くなりました。

保険適応外もですか?
うーん、あくまでもケースバイケースじゃが、副作用なく、患者が少しでも快適になり、さらに使用していけば治癒の兆しがでてくるのであれば、言葉は適切かどうかわからんが、、多少コストがかかっても治れば「安いモノ」だという解釈。

患者さんがご納得されれば、特に問題ないと小生も思う。

例えば、最近では前述の「タイツ膏軟膏」、又は「中黄膏」を実際に使用している皮膚科がここ何年かで急速に増えてきた。

もちろん患者の自費負担じゃが、その有効性は患者さん本人らから支持されてくるというから凄い話だと思う。
あくまでもこれはほんの一例だが・・・・。

だから、そういうきめ細かな対応される皮膚科は逆に人気がでて、おそろしく混んでいる。
順番待ち3時間なんていうのは、ごく当たり前みたいだ。(笑)

そうですか、患者さんもたいへんですよね。

話はがらり変わりますが、例えばステロイドの内服療法は実施しないのですか?
あるね。あるけど、一般外来ではまず使用しない。なぜなら、本症には通常適応にならないという理由がある。

ただし、激烈な症状を呈している場合、普通は大学病院等、大手の病院に一時入院措置をすることがあるが、この時にはステロイド療法を実施することがある。

あくまでも症例にもよるが、劇症の場合には実施する。
しかし、その場合は常にステロイドからの離脱時期を考慮し、投薬計画を立案する。

だから、ステロイド内服はあくまでも一時的なものだ。一般的ではないね。

さて、いよいよ「生活指導」のお話ですね。

生活指導と言ってもいろいろありますね。
生活習慣の中に再燃を繰り返すものが、必ず隠れているので、念入りな再チェックと、その補正が重要なポイントとなると思います。
まず、おおまかに言うと、患者さんが生活している空間。つまり、居間、寝室、職場、学校など・・・。に皮膚を刺激するものがあるか、どうか?
あるよね。ホコリ。カビ。植物。化学物質など。

かなり患者さんのプライベートに立ち入る話になるので、なかなか問診は難しい・・・。できれば、家庭訪問などできれば、その場で指摘もできる。患者さんの協力もぜったいに必要であると小生は思う。

特に入浴週間のチェックは大切で、特に患者の使用しているシャンプー、リンス、石けん、トリートメント用品。ドライヤー、毛髪化粧品など、皮膚に刺激を加えているものがないかを、パッチテストなど、使用試験は必要となる。

その結果を基にして、入浴週間の補正を実施する。
私の、担当経験では、特に衣類に着目します。自分では大丈夫と思っていても、意外と「落とし穴」があるんです。

もちろん使用衣服の繊維の質の確認は言うまでもないことですが、触感、繊維加工剤、洗濯石鹸の残留などきめ細かなチェックが必要と思います。特に、合成洗剤は要注意です。

先生、食事についてはどうでしょうか?
うん。まぁ当然のことだが、食品の摂取によって症状の増悪が認められるケース(いろいろなケースがありすぎて、書ききれない。例えば白米という例もかなり多い。)にのみ食事制限を行われるべきで、小生は基本的には、不用意な食事制限はすべきではないと考えている。

むしろ、バランスのとれた食事をとることが先決。

それと、あれはダメ、これはダメと、全部ダメの生活を強いること自体、ストレスの元凶となり、症状が悪化することもある。

適度な運動と睡眠、そしてストレス解消は必須であり、不配慮の制限を患者に作りださないようにすることも、生活指導のポイントかも知れないね。
さていよいよ、お話は大詰めの、漢方処方のお話に移りたいと思います。
いや、沙織先生。大詰めはやはり先ほどの「生活習慣の見直し」だとワシは思うよ。

くやしいかな、「漢方」単独は小詰めというところだ。漢方は副作用が軽微なかわりに、根気を必要とする。

こつこつ服用していくことは大変なことで、ある意味これを生活習慣の中に取り入れることにより、「漢方本来」の本領発揮があると思う。

そのようなわけで、漢方に馴染むということは、漢方という薬に総てを頼るという意味ではない、ということを当初理解が必要かも知れない。

いろいろやったがダメだ、今度は漢方に治癒の夢を託すという心境はわからんでもないが、もっと広義の意味で、「体質改善」という考えをもって導入して頂きたい。
そうですね。特に漢方療法をするにあたって、生活習慣の根底からの見直し、さらに併せて「環境整備」も必要と常々思っています。
そして、はじめて処方にチャレンジということですね。
そういうことです。漢方は奥深い。決して西洋医学が薄っぺらという意味ではなく、東洋医学の疾病のとらえ方、考え方が西洋のそれと全く違うのです。

どうしても同じ土俵の中で考えがちですが、随証論、気血水、陰陽、表裏などと、「ものさし」が違うわけですから。

漢方がわかりにくいと言われるゆえんがそこにあります。

今日はわかりやすく、繁用処方についてのみ、お話しましょう。
まず、筆頭が温清飲(うんせいいん)消風散(しょうふうさん)

温清飲(うんせいいん)は燥熱型に、消風散(しょうふうさん)は湿熱型にそれぞれ用いられますね。

その他、症状に応じ、

十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)

白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)

黄連解毒湯(おうれんげどくとう)

柴胡清肝湯(さいこせいかんとう)

温経湯(うんけいとう)

三黄瀉心湯(さんおうしゃしんとう)

治頭瘡一方(じずそういっぽう)

桂枝加黄耆湯(けいしかおうぎとう)・・・・などが、繁用ですか?

あと、痒みのひどい時には、梔子柏皮湯(ししはくひとう)なども使用されますね。
いやあ、いっぱい掲げたねぇ。でも実際に多く使用されている処方ばかりだ。

あと急性期には発表剤として、

葛根湯(かっこんとう)

桂枝麻黄各半湯(けいまかくはんとう)

桂枝加黄耆湯(けいしかおうぎとう)

また、清熱剤として

黄連解毒湯(おうれんげどくとう)

白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)などが用いられるね。


たとえば、慢性化した時期には病像によって、種々の処方を使い分け、さらに場合によっては二剤併用(合方)が必要となります。

たとえば、

温清飲(うんせいいん)白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)の合方(がっぽう)

消風散(しょうふうさん白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)の合方(がっぽう)

の処方例が多いかと思います。

頭部、顔面に湿疹像が認められる場合には、

治頭瘡一方(じずそういっぽう)

清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)

などが用いられます。


そうだね。清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)はよく用いられるね。

全体的に、繁出処方はやはりなんと言っても、温清飲(うんせいいん)と消風散(しょうふうさん)が圧倒的に多く使用されている。

なお、小生も時折使用するが、虚証、陰証例では

当帰飲子(とうきいんし)

桂枝加黄耆湯(けいしかおうぎとう)

補中益気湯(ほちゅうえっきとう)

なども選択することもある。特に当帰飲子(とうきいんし)が有効なことが多い。
本当に、あっという間に時間が過ぎてしまいました。

本日は「アトピー性皮膚炎と繁用の漢方処方」というテーマで話をさせて頂きました。
また、この続き、詳細は又の機会にしたいと思います。

なお、今回の収録にあたり、TCテクニカル〔株〕様のM係長様にはお骨折りを頂きました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。





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