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プロたんの悠遊自適漢方譚(ゆうゆうじてき かんぽうたん) 2006年版へ≫

■本音で対談シリーズ:便秘と漢方 日時場所:平成14年2月8日 プロたん内にて
■平成17年12月リニューアル
話し手: 管理薬剤師薬剤師 プロたん
略歴:元病院薬剤師(20年間)
一般市販薬・漢方(販売歴16年目)
    現プロたん 代表
話し手: 漢方外来担当(レディース外来) 沙織(さおり)
略歴:一般市販薬・漢方(販売歴16年目)
相変わらず「便秘症」のご相談が多いですね。
そうだね、現在、「日本医薬品集」に網羅登録されている一般市販薬(OTC)は実に300品目を超え、メーカー生産高もこの分野に限り驚異的な伸びをみせている。

いかに医師を訪れる前に「町の薬局」へ飛び込む患者が増加しているかが想像できるね。
患者さんの心理状態としても、毎日「出てた」人が急に「出なく」なったりすると、一種のストレスがたまる。
まったくその通りで、患者さんの多くは「便秘即下剤」と、観念的に考え、「下剤をください。」と、すぐに薬局で購入する。

「すっきり」したら、そのまま日常生活サイクルに戻り、また「出なく」なったらあわてて「飲んで出す」。便利じゃからの。

この何年かの繰り返しで、気が付いたら立派な「常習便秘症」になっとる。
便秘の定義というと、「排便が順調に行われない状態、快適でかつ順調な排便がないもの、または不満足な排便習慣・・・」と考えればいいのですよね?

人によって差異があるから、例え毎日排便がなくても、何の苦痛もなければ便秘と断定する必要はない・・・。
その通り。逆に言えば、1日2〜3回排便があったとしても、なお残便感などの不快な症状の確実に残る人は、ある種の「便秘」と考える必要がある。
そこで、便利な一般市販薬(OTC)用語で宿便(しゅくべん)?という言葉が生まれた。(笑)

「宿便浄化健康法」とかいう言葉が流行りましたよね。
その昔、メーカー研修会に呼ばれた講師が、真剣に「宿便(しゅくべん)」についての講釈を薬剤師にしていた。信じられない。

「その宿便ちゅーのは、滞留便なのですか?残渣便の解釈なのですか?」とワシが質問をしても正確に答えて頂けなかった。(笑)

こんな感じのメーカー姿勢がまかり通っていた時代もあった。宿便なんか存在するワケもない。

それと便秘を要因とする「自家中毒説」。たしかに「吹き出物」などと相関関係があるが、いきなり「大腸がん」に結びつけることは極端であり、言語道断、ユーザーの不安をあおるばかりである。
でも「たかが便秘。」と楽観視もできないですよね。
神経質過ぎるのも問題じゃが、「楽観的」なのも、もっと困る。

便秘症状が慢性化しても直接生命を脅かすことがない・・・という安易さも手伝って、生涯下剤を服用し続けなければならない状態に放置されている例が少なくない・・・。こうした患者さんは「便秘薬」に対しての「精神的な依存度」が高いと思うよ。

 しかしながら、このように「精神的要因の強い」患者さんには、ワシは「便秘解消の秘訣は・・・1に生活、2に食事、3、4はなくて5に便秘薬」と力説している。
だから、プロたんの売上が伸びない。(笑)

でも、先生、我々女性にとっては「排便」については切実な問題のトキがあるのです。

おっしゃることはよく理解できるのですが、なかなか状況、環境が許してくれないことがあるのです。

例えば女性には「生理」があります。それと職場のトイレ。繁忙期の場合ついつい、我慢をしてしまう。職業的には営業関係、教育、運転などいろいろな仕事を持たれている方々がご相談においでになっていますね。
そうだね。だからまず接客をして、特別な病変、器質性なもの(例えば重大な疾患)がなさそうであれば以下のような感じでワシは話をすすめることにしている。

1.起床直後の水、牛乳の飲用
2.朝食は必ずとる
3.食物繊維を好んで摂取(食物繊維が苦手であれば、市販の医薬品も可
4.乳酸菌製剤による腸内細菌の改善(できたら活性型)健康食品・医薬部外品もある。

これで、なかなかうまくいかないレベルの慢性型であれば、薬物療法を平行して実施する。

但し、ここで言う薬物とは、「漢方製剤」である。

ただ漫然と漢方と言えども「下剤がわり」に服用するのではなく、便秘の度合いとして処方を決定し、「投薬計画」をつくる。
ただ、どうしても多忙な方には途中の挫折も考慮に入れて、錠剤の「生薬製剤」にするのも一つの方法論だと思う。。

特に服用忘れがちな方には、服用量調節が素人(しろうと)でも可能な錠剤タイプをすすめている。

これならば状態変化に応じ、5錠→4錠→3錠→2錠とスイッチ可能で、管理しやすい。

ようするに、投薬開始時に離薬(りやく・・・薬から離れる)も考慮に入れれば、患者さんの積極性も増すものである。

そのためには、消化器官に穏やかに働きかける生薬の配合剤が一番適しているとワシは思う。

他に、「冷え」、「肩こり」、「のぼせ」等の体質改善もお望みであれば、漢方処方単独か、症例に応じて合方(がっぽう)をする。

こんな感じだね。

ただし、原因不明の急性便秘症や、器質性のものに関しては、いわゆる重大な疾患が潜んでいる場合もあるので、医療機関において精密検査(注腸X線あるいは内視鏡)をおすすめするね。

直腸指診、腹部単純撮影などは検査の基本中の基本であり、決して恐れるに足らず。
そうですね、近年、大腸ガン検診の免疫学的便潜血検査の普及によって、救われる患者さんも以前に比べるとずっと多くなりました。
先生もそろそろ検診の時期ですね。(笑)
・・・・・。(汗)





弛緩性便秘とケイレン性便秘 便秘には、腸にガンや異物ができたり、部分的に腸か゜狭くなったり、あるいは神経がマヒしたりして起こるものがありますが、この種の便秘はいずれも外科的処置の必要が多いものです。

このような特別の原因がなくて起こる便秘を、常習便秘または慢性便秘と言います。

普通、便秘で悩んでいるのはこちらのほうで、漢方の得意とする分野に属し、多くの場合半年から一年の服薬で慢性的な便秘癖も消失してきます。

常習便秘は、現代医学的には弛緩性とケイレン性の二つに大別されます。

前者は体力が病的に充実しすぎている人に起こることが多く、排便に際しては太くてかたい、しかも比較的長い形の便が出ます。

後者は体力が不足している人に起こることが多く、便はうさぎのふんのように丸く、小さくてコロコロしたのが排出されます。

便秘の現代医学的な治療は、前者は下剤を用い、後者には下剤の入らない酵素剤やビタミン剤を用いるのが通例です。

漢方的には弛緩性の便秘を実証の便秘と言い、ケイレン性の便秘を虚証の便秘と称しています。

治療の基本原則は、前者には大黄や芒硝などの植物性ならびに塩類の下剤が配合それた処方を用い、後者にはそれらの下剤を配合されず、体のバランスをととのえることによって排便を促すような処方を用いて、便通をつけるのが普通です。

前者の場合、つまり実証の便秘に応用される処方には、三黄瀉心湯、大柴胡湯、調胃承気湯、大黄牡丹皮湯、大黄甘草湯などがあり、後者の虚証の便秘には八味地黄丸、加味逍遙散、当帰芍薬散などが主として用いられます。

しかし、これはあくまで原則であって、実際には虚証の便秘に大黄を含んだ処方を絶対に使ってはならないというわけではありません。

麻子仁丸、潤腸湯、大黄甘草湯、大黄附子湯などは大黄を含んでいながら、虚証の便秘にも用いて効果のあることが少なくありません。
【実証】
大柴胡湯
(だいさいことう)
体格ががっしりしている人、またはかた太りしている人で、肩こりがしやすく、朝起きると口の中が粘ついていたり苦かったりする、みずおちのあたりがつかえる傾向がある、胸脇苦満がある、などの自覚症状のある人の便秘に用います。
調胃承気湯
(ちょういじょうきとう)
実証度の強い人で、脈に力があり、腹力が十分にあり、腹が張るなどの症状がある便秘に用います。
【虚実間証】
加味逍遙散
(かみしょうようさん)
体力が中等度か、またはやや落ちている人、特に婦人の便秘に用います。背中に寒さを急に感じたかと思うと、そのあと寒気がする、午後になると顔がほてってくる、肩がこる、なんとなく気分がいら立つ、食欲がない、根気がない、などの症状を伴う便秘によいものです。
大黄甘草湯
(だいおうかんぞうとう)
体力が中等度の人からやや落ちた人にまで幅広く使える処方です。便秘、食欲不振以外にこれという症状のない場合に用いてよいものです。
【虚証】
潤腸湯
(じゅんちょうとう)
老人など体力のない人の便秘に用います。便はうさぎのふん状で、皮膚はカサカサして、うるおいがないことが目標です。
八味地黄丸(八味丸)
(はちみじおうがん)
体力のやや落ちている虚証の人の便秘によく、腰から下に力がない、ひざがガクガクして転びやすい、夜しばしば小便に起きる、のどが渇きやすい、などの症状があることが目標です。
【その他】生薬
大黄・センナ・アロエ、どくだみ等 瀉下剤でもある大黄、センナ、アロエなどを単独で用いるときは注意を要する。

「飲めばのむほどに効く・・・」という誤った解釈は副作用の発現を誘起するおそれもある。

瀉下剤の作用は激しいため、原薬、粉末生薬の単品摂取は不慣れな者は避けるべきです。
従って、腸管に穏やかに働きかける数種の生薬配合製剤をおすすめします。



平成17年12月 改訂



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