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チャコの幻影

先日、都内に3日間ほど出張している最中に、母の入所先である鎌倉の療養施設から緊急連絡が入った。
無断外出をしたそうである。
すぐに戻って、職員から騒動の顛末を聞いたところ、トイレに行くふりをして、施設のすぐ至近にあるスーパーマーケットで買い物をしてたそうである。
猫のトイレ(砂)とモンプチというフードをたいそうな量を購入し、不審に思った店長の通報でことなきを得た・・・・とのことである。
当人に問いただすと、あなたが全然来ないから、チャコが可愛そう・・と泣いている。
さすがに、彼女に会うなり『馬鹿!』と怒鳴ったことを後悔した。

以前、私の家には「チャコ」という可愛い猫がおり、家族の一員として君臨していた時期があった。
もとはと言えば、はぐれ猫であり、子猫の時に台風の日、死にかけた子猫を介抱し育てるうちに、家族となった。
母の「チャコ」に対する思い入れは強く、よく「チャコ」の夢を見たとベッドの脇でつぶやくこともある。

多分、何日か私が不在で不安になったのだろう。他の身内が見舞っていたが、さらに不安が増幅し、白昼夢のように「腹をすかしたチャコ」の幻影を見たに違いない。
その足でスーパーの店長に騒がせたことを謝罪に行ったが、
いきさつを話すと、「いゃあ~わかるような気がします・・・。」と笑顔で対応して頂いた。

思えば、あの猫が亡くなった時には、私もショックで食事がのどを通らなかったような思い出がある。
母の状況からするに、来月あたりからひょっとして前の病院へ戻される予感もしたが、夜の海風もさわやかで、久々の猫への思いが蘇り心地よい気がした。