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話題となる『心臓神経症』。完全治癒率33%とは

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炙甘草湯(しゃかんぞうとう)と茯苓飲合半夏厚朴湯(ぶくりょういんごうはんげこうぼくとう)

【はじめに】

先日、循環器ドクターと話し合う機会を得まして、現在当薬局への外来相談が例年増加している『心臓神経症』についていくつか質問をしてみました。
患者様の主訴としては、ストレスを受けることにより『どうき・息切れ』、さらに狭心症にも似た『胸痛』が特徴です。

その他、個々により仔細自覚症状には差がありますが、「ひょっとして、このまま心臓が止まるのではないか?」と恐怖が症状を増幅させ、酸素欠乏にも似た様相から周囲を慌てさせるケースもあるとか。

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今日は巷で話題となり、このストレス社会に「深く静かに」広まりつつある『心臓神経症』について、私の体験談を含めお話してみましょう。

【自覚症状と所見】

病院循環器科での精査を受診した場合、血液、心電図(負荷)、心エコーも全く異常なく、一般内科学的所見が見当たらなければ、今なにかとメジャーになった『心療内科』へのご紹介ということになるでしょう。
これも患者様のケースによりまちまちですが、主に精神安定剤の投薬を受けるようです。

実は私自身も時折上記のような症状を有しており、自覚症状が少しでも進行する場合には、まず安全策として「循環器科」を訪ねます。
特に仕事が繁忙時、夜更かしなどが続いた時に『胸痛』が頻繁に起こります。
過去、救急病院に勤務をしていた時に「狭心症」を患い、5年ほど背中に「ニトロテープ」を貼った経験があるだけに、一体どちらの症状なのか迷うところです。

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結論を先に言いますと、『心臓神経症』で心臓が停止し亡くなる事例はまず無いと言って宜しいでしょう。
しかし、ながらこのような自覚症状が続くようであれば、その裏に重大な病変が隠れている場合もありますので、決して楽観視せずに専門医の受診を定期的にお願いしたいところです。

【心臓神経症の由来と治癒率】

そもそも『心臓神経症』という病名の歴史は浅く、ご年配の循環器医師らからはその病名のあり方自体に疑問視される意見も伺いました。
しかし、現代では日常茶飯事このような患者さんは増加し、特にお若い方に多いのも特徴の一つであると思います。

神経質(過敏)な性格からも由来し、西洋薬、安定剤の長期投薬を受けたとしても完治は極めて困難であり、再発を繰り返します。
内科医師が学会等で完全治癒率は概ね33%?とチャートを用いての報告を拝見したことがありますが、まさに「致命的ではないが、治しにくい疾病」
の一つでしょう。
この33%そのものの数値につきましては、専門医の意見にバラつきもあり、症例数、投薬方法、患者の環境により違いはあると思います。
しかしながら、西洋医学を駆使してもなかなか完治できない症例が多いことは確かなようです。

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【漢方療法のおすすめ】

このような場合、私はまず漢方療法を迷わずお奨めするようにしています。

絶対に治るとは「断言」はできませんが、自身が体験しているだけにほぼそれに近い意見です。漢方で治しやすい「病変」であると私は思います。
心当たりのあるお客様は以下、漢方処方をおすすめいたします。

東洋医学で言う「気・血・水」理論から申しますと、「気」と「水」のバランスが崩れている状態。
つまり現代では『自律神経失調症』という病名で置き換えているようですが、『心臓神経症』は前回このシリーズでご紹介申し上げました漢方処方『桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)』の証よりもさらに進行している症状と思います。

牛黄(ごおう)製剤、例えば「救心」や「六神丸」等で、一時は対症的には改善されますが、前述した「気」と「水」の修正には本格的な漢方処方の投薬となります。

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【私がおすすめする漢方処方】

やせ型、顔色は決して良くなく、しばしば起立性低血圧を起こす、考え方が極めて神経質(実行そのものは杜撰そのものですが・・・。)、午前中元気なく、仕事終盤近くの夕方あたりから本調子になる。胃腸は弱く、頭痛もち。舌診は「白」。皮膚は乾燥傾向。。

これが私の現在の体質というか「姿」そのものです。『心臓神経症』は、このように「中間証」から「虚証」の特徴を有している人に多いと思います。
「証」がぴったり合えば、必ず効果が出るのが漢方の特徴です。

現在までいろいろ試してみましたが、一番効果のあった処方を二つ掲げてみます。

●特に手足に火照り感(あくまでも自覚症状)があり、明らかに「胸痛」が断続的に出現する場合。

☆炙甘草湯(しゃかんぞうとう)

製剤ご紹介はこちら

〔松浦細粒〕 NO.37 炙甘草湯 エキス細粒分包 300包
こちら
→ http://www.protan2002.com/matu2005/37.html
500グラム徳用ボトル
→ http://www.protan2002.com/matu2005data/index500.html#37

●げっぷが出現、みずおち当たりに停水感を自覚。強度のストレスを受け、息苦しく、ちくちく胸を締めつけられる感じ。のどのつかえ感もある時。

【適応範囲と服用方法の例】

当初、処方を決定する場合、「炙甘草湯」又は「茯苓飲合半夏厚朴湯」のどちらかを選択いたします。もちろん両方一緒には服用いたしません。

「炙甘草湯」の適応範囲は極めて広く、糖尿病に関わる随伴症状などにも応用はききますが、私はこれを患者さんの証を見て、「心臓神経症」に多用し、成功をしています。
特に、胸が痛いという歴然とした事実が楽になり、服用続けるに従って「痛み」が消失することはまず患者さん自身にとって大きな「安心感」が芽生え、体質改善へ向けて服用続ける意欲も増すものです。

〔炙甘草湯〕
成分生薬は、桂皮、麻子仁、炙甘草、大棗、人参、地黄、生姜、麦門冬と、生薬学的にはかなり複雑な構成となっています。
しかしながら、いずれも「穏やか」な生薬成分には変わりなく、「気」を通し、水はけや解毒を促し、冷えた内臓を適度に温め、潤いを保ち、滋養効果をも有します。

具体的に「胸痛」を有する患者様には、まずはこの「炙甘草湯」をおすすめいたします。

〔茯苓飲合半夏厚朴湯〕
特に痛みまではないが、とにかく有事になると、息もできないくらい、苦しくなり、立ち止まって深呼吸を何度もしてしまう。胃が重苦しい。
胃腸科や消化器科を受診しても特に病変が見当たらない。
ストレスを受けるとせき込んだり、不眠傾向、不安観念。不整脈らしきものを自覚し、循環器科に飛び込むが、所見なし。
このような時におすすめが、「茯苓飲合半夏厚朴湯」です。

実際に心療内科や、病院の東洋医学外来でも良くでている処方です。

私はこれを当薬局漢方相談外来における「心臓神経症」に用いてみました。
お客様の症状により個々の差はありますが、概ね長期投薬で改善しております。

〔スイッチするケース〕
具体的に申すならば、当初は「炙甘草湯」で2ヶ月間投薬。全体的な症状が落ち着いてきた時点で、「茯苓飲合半夏厚朴湯」に変更する症例も多く見受けられます。
「茯苓飲合半夏厚朴湯」は極めて穏やか処方のため、長期投薬となります。
当薬局の例から申せば概ね4~6ヶ月程度とだけお話しをしておきましょう。

【まとめ】

心臓周辺に関わる病変には各種あり、病理学的疾病が心臓そのものに無くとも『心臓神経症』も広義の意味で自律神経失調症の一つであると私は思います。
自覚症状を感じたらまずは、病院への受診。そして精密検査の結果、器質的な病変がなければ、いよいよ漢方の出番です
ウチにこもらず、適度なストレス解消を工夫され、根気強く漢方療法をお続けになるならば、この症状は消失すると確信いたします。
ぜひご検討くださいませ。

なお、この『心臓神経症』についての病名の妥当性につき、学会でその論争が繰り広げられてきましたが、心療内科領域において、新しい病名候補、又は既存する疾病カテゴリー内に統合されるのか、検討中として伺いました。

いずれにしても保険診療の「兼ね合い」もありますので、そのカテゴリー区分の変更もごく近い将来実施されることでしょう。
私見ですが、『心臓神経症』の方がそのものずばり患者様にもわかりやすく、よろしいのではないかと思う昨今です。